にほんごではなそ

豊かな日本語表現を獲得することを目的としたブログ/最近はSnow Man多めです

[感想]PROMISING YOUNG WOMAN(字幕版)

こんばんは、ささめ丸です。

先日、「PROMISING YOUNG WOMAN(字幕版)」を観てきました。

 

復讐系映画なのですが、こちらも「ブラック・ウィドウ」と同じく現実世界へ思いを馳せながら観ることになりました。

「見よう」と思った動機を忘れたまま「何か見たいって思ってた気がするんだよね~」という状況で観に行ったのですが、とにかくキャシーがカッコよかったです。

いろんな人に観てもらいたいなと思った映画でした。

 

とりあえず以下フライヤーに載っていたあらすじです。

 30歳を目前にしたキャシー(キャリー・マリガン)は、ある事件によって医大を中退し、今やカフェの店員として平凡な毎日を送っている。その一方、夜ごとバーで泥酔したフリをして、お持ち帰りオトコたちに裁きを下していた。ある日、大学時代のクラスメートで現在は小児科医となったライアン(ボー・バーナム)がカフェを訪れる。この偶然の再会ことが、キャシーに恋心を目覚めさせ、同時に地獄のような悪夢へと連れ戻すことになる……。

 

さて感想です。

今回もネタバレには配慮しません。

 

本編とは関係ないのですが、主人公の年齢も把握せずに観ていたので、誕生日のシーンまでは年齢が分からず混乱していました。

正直に言うと、アラフォーくらいに見えていました。

実際に女優の年齢を調べてみると36歳(1985年生まれ)と、まあアラフォーといえばアラフォーなのですが、何と言うか、映像作品って役年齢よりも実年齢が低いことの方が多い気がするので、違和感を持ったのかなと思います。

モータルコンバットの感想でも散々ささめ丸自身の偏見を晒したと思うのですが、役年齢よりも実年齢が低いことに慣れていた(当たり前のように感じていた)ことをここに晒します。

女優の年齢と役どころの年齢って、最近俄かに(?)問題になっていますよね。

夫婦役の役の年齢差と役者の年齢差が全然違うとか。

ここいらで私自身の価値観もアップデートしなければな、と思いました。

というか、グーグルで検索した時に「キャリー・マリガン 老けた」と予測に出る悲しさ…

ええやんけ人間みんな歳はとるのです。

 

さて本筋。

(我々が見る)最初の「裁き」の後の朝帰りのシーン、とてもカッコよかったです。

3人組の工事現場の男たちにからかわれ、何も言わずに見つめ返す。

無礼にもちょっかいをかけてきたのは3人組のくせに、何も言わず、恥ずかしがらず、明確な感情を見せずに見つめ返すと勝手に気味悪がって喚いているところが、とってもあるある~って感じでした。

まあ私はそのような経験はそれほどないのですが、「ただ見つめ返す」ことがとてもカッコいいな~と思いました。

そして「裁き」について。

私は映画には割とバイオレンスを求めているので殺すか「切り取る」かするのだと思っていたのですが、何でもかんでもバイオレンスにすれば良いという訳ではないので、普通に(?)言葉で「分からせる」だけでした。

最初は「裁き」としては物足りないなと感じたものですが、実社会と繋がっている映画として、最大に効力のある裁きだったなと思い直しました。

そしてキャシーの復讐ノート。

おびただしい数の男が記録されていますが、恐らくキャシーの行動範囲はそこまで広くないのに、あれだけやっても「お持ち帰りオトコ」たちは消滅しないんだなあと空しく感じました。

 

1~3の復讐について。

それぞれ、「あの時」と変わっているのか、確認してからの復讐でした。

個人的に弁護士を許すのは甘いな~と感じたものですが、よくよく考えたらキャシーはスイッチが入ればゴリゴリの行動力を発揮しますが、一応「普通の女性」な訳で、アクション映画ばりの復讐マシンではありません。

逆に「普通の女性」が今回の復讐を実行することが重要なんだな~と思いました。

女性2人への復讐が「同じ状況を味わわせる」というのも良かったです。

 

男たちについて。

どうしてみんな「自分は良いやつだ」と主張するのかな~と不思議に思いました。

お前ら良いやつじゃなかったら死ぬんか、そしたら既に死んでると思うけどな。

「良いやつ」で居たいのであれば「良いやつ」としての行動をしようぜ。

「自分は良いやつだ」と主張していない男(最初の男)も、最初は「紳士的に」泥酔したキャシーに声をかけていたので、最後まで「紳士」でいろや、と思いました。

というかこの男が後々ライアンに対する伏線?的なものになっていて凄いな~と思いました。

もう信じられるのは「罪を認めた人」だけだ。

 

ライアンについて。

「君は間違いを犯さないのか」「ガキだったんだ」(これは主犯も言っていましたが)という言葉、最低だなと思います。

他の人たちにも言えますが、生き残った加害者は「大人になって」過去の過ちを見なかったことにできるけど、被害者はどうしたって見なかったことはできないのになと思います。

そして自身の罪を無視することは「大人」なのかと思います。

どいつもこいつも成熟した大人ぶりやがってと悪態をつきたくなりますね。

「君は間違いを犯さないのか」という言葉は最大に自分の罪を過小評価していて胸糞悪かったです。

そしてそんなこと言ったらキャシーの逆鱗に触れるぞとも思いました。

そしてあんなことをしておいてキャシーに恋心を持てることが最大に侮辱だなと思います。

フランクな言葉でいうと「お前舐めてんな」といった感じです。

舐めてるからこそ恋人になれると思っていたんだな~と思います。

か、本当に自身のやったことを意識していなかったか。

どちらにせよ最悪でした(お話としてはリアリティのある最悪さで評価高いです)。

 

最後の復讐について。

主犯がメソメソしていたのが最高にイラつきました。

まあ「とある悪人」が悪事を起こすのではなく、男性優位の構造に胡坐をかいてノリに乗った人たちが過ちを犯すという点で見ると、リアリティあるなと思います。

アメコミ映画・アクション映画を見ていると、信念を持った悪事、理由の明確な悪事に慣れ親しんでしまうのですが、現実社会の事件ってそんな感じだよな~と実感しています。

構造の問題は非常に根深い。

復讐事態については、非常にスカッとしました。

キャシーが死んでしまった辺りから(死ぬなどして)操作できなくなったら自動送信などで告発するのかなと思っていたのですが、ここに来て弁護士が生きてくるとは。

私なら信用できませんけど、キャシーが信じられると思ったんですからね。

結婚式のシーン(ライアンにメッセージが来るシーン)は最高でした。

「;-)」この顔文字かわいいですね。

印象的だったのが、主犯の親友的な男が逃げるシーンです。

ベッドで主犯を諭すシーンは「お?恋愛感情か?」と思うくらい必死だったのに、状況が転じるとあっさり見捨てるあたり最高にホモソって感じです。

結局は主犯が大事だったのではなく、「ストリッパーなんかに前途有望な医者の男の人生を台無しにされるなんてありえない!」ということに尽きるのかなと思います。

友情という点については、キャシーのニーナに対する感情は大きすぎて私は「う~ん」となってしまったのですが(「ニーナを崇拝していた」など)、まあ本筋には関係ありませんね。

 

 

ということで、つらつらと書いてきましたが、ここら辺で終了です。

お読みいただきありがとうございました。

全ての女にとって生きやすい世界になりますように。

ささめ丸でした。